市政・町政の勉強会を開催

1月6日(土) 「市政・町政の勉強会」を開催しました。大垣市、神戸町、池田町からご参加くださり総勢15名で行いました。

■今回のテーマは「公共交通問題」
愛知大学地域政策学センター長の可児 紀夫氏を講師にお招きし、公共交通をめぐる諸問題と地域交通政策についてお話しいただきました。可児氏は、誰もが、いつでも、行きたい場所へ移動できるという新しい人権の概念「交通権」が、まちづくりの政策に重要と話されました。地域における住民の暮らしと命を守る交通の確保は、国のいう公共交通の活性化とはちがうことを世界標準の公共交通政策を例にとって話されました。

■日本と世界の公共交通の考え方のちがい
日本の公共交通の政策が目指しているのは、採算の最大化(経費の最小化)、自治体負担の赤字補填です。補助するだけで次なる政策(ビジョン)ができていないのが実情です。
それに対し、世界は交通政策を生かし、気候変動など現代の課題に向かっています。例えば、
①ルクセンブルクは国内の公共交通を2020年3月より無償化した国づくり
②フランスは交通権を理念とした交通基本法の策定
③アメリカは公共交通への補助を年々増加し2020年は250億ドル(1兆8500億円)
世界は社会全体の利益(環境・教育・健康・福祉・観光など)の最大化を目標としています。社会のために公共交通のあるべき姿、先を見越した政策づくりに重点をおいています。

■名古屋市が交付する「敬老パス」
名古屋市では65歳以上の方(外国籍の方を含む)へ、市バス・地下鉄などを実質無料で乗車できる敬老パスを交付しています。
平成25年に名古屋市は、敬老パス制度の効果について日本能率協会総合研究所に委託して調査をしました。
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000108/108952/houkokusho.pdf

本報告書のまとめに「経済効果」として、
事業費130億円 → 敬老パス制度による経済効果は316億円
実に事業費の2,4倍の経済効果があると判明しました。現在では運賃支給対象区間には名鉄・JR東海・近鉄・名鉄バス・三重交通など網羅しています。

公共交通は移動手段だけでなく、多方向に影響を与えます。国土を守るには人が住まないと成り立ちません。そのためには交通システムは必須です。自動車免許を返納した高齢者が安心して買い物や病院へ行ける。また乳幼児をもつ子育てファミリーが楽に移動できる仕組みが必要です。地域の方による自助努力社会も大切ですが、それだけでは解決しないのが地域交通です。市民・町民が暮らしを守るために声を上げ、行政と一緒に公共交通ビジョンづくりが大切だと改めて感じました。

■次回の勉強会は2月10日(土)10:00~12:00
テーマは「地域防災」を予定しています。
場 所:オカサンホテル1階西事務所
参加費:500円(飲み物・資料代)
皆さまのご参加をお待ちしています。